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エピストラ株式会社

画像解析と機械学習を用いたヒトiPS細胞の分化効率の早期・非破壊予測法の共同開発成果が国際的学術誌「Scientific Reports」に論文発表されました

画像解析と機械学習を用いたヒトiPS細胞の分化効率の早期・非破壊予測法の共同開発成果が国際的学術誌「Scientific Reports」に論文発表されました

エピストラ株式会社(所在地:東京都品川区、代表取締役CEO:小澤陽介、以下エピストラ)は、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)臨床応用研究部門の研究チームとの共同研究において、細胞画像解析と機械学習を活用することで、ヒトiPS細胞から骨格筋幹細胞(MuSC)への分化効率を早期かつ非破壊的に予測する新たな手法の開発に成功しました。

本研究の成果は、英国科学誌『Scientific Reports』に2025年7月23日(英国時間)付でオンライン公開されました。

図:本研究の概要.
骨格筋幹細胞(MuSC)の分化誘導系(上部)をモデルとし、細胞画像から分化効率を予測するシステムを開発した。
機械学習を用いて、14~38日目に取得した画像から82日目の分化効率の予測を行った。

■ 共同研究の概要と成果

ヒトiPS細胞は、あらゆる細胞に分化する能力を持ち、再生医療や創薬研究など幅広い応用が期待されています。中でも、遺伝子導入を行わず、発生過程を模倣した形で培地組成を変える「段階的分化誘導法」は、安全性や分化細胞の成熟度が高い点から再生医療に適した手法とされています。一方で、分化効率のばらつきや、数ヶ月に及ぶ培養期間が研究開発のボトルネックとなっており、分化効率を早期かつ非破壊的に予測する手法の開発が求められていました。

本共同研究では、iPS細胞由来骨格筋幹細胞(MuSC)の分化誘導系をモデルとし、画像解析と機械学習を組み合わせることで、最終的な分化効率を早期かつ非破壊的に予測する手法の開発を行いました。MuSCは分化誘導に約80日という長期間を要しますが、開発した手法により24日目~34日目という早期に最終的な分化誘導効率が予測できる可能性が示されました。

これにより、遺伝子やタンパク質の発現解析といった細胞破壊的な手法や、熟練者による目視評価に頼ることなく、画像ベースで分化状態を簡便かつ客観的に判定可能となりました。本手法を活用することで、従来は長期間の培養を要していたヒトiPS細胞の分化誘導において、効率的な細胞取得が可能となり、再生医療研究のさらなる加速が期待されます。

※ 研究の詳細な解説は 京都大学iPS細胞研究所(CiRA)のページ をご参照ください。

■ 論文の情報

タイトル

Early and non-destructive prediction of the differentiation efficiency of human induced pluripotent stem cells using imaging and machine learning

著者・所属機関

Miki Arai Hojo1*, Taku Tsuzuki2, Yosuke Ozawa2*, Toshiyuki Araki3, and Hidetoshi Sakurai1* (*責任著者)

  1. 京都大学 iPS細胞研究所(CiRA)臨床応用研究部門
  2. エピストラ株式会社
  3. 国立精神・神経医療研究センター

掲載誌

Scientific Reports

DOI

doi: 10.1038/s41598-025-11108-5

本研究への支援

本研究は、下記機関より支援を受けて実施されました。

国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)再生医療実現拠点ネットワークプログラム
「疾患特異的iPS細胞の利活用促進・難病研究加速プログラム」次世代型マトリックスによる高効率骨格筋幹細胞分化誘導法の開発